粘い総二郎の社会日記

粘い総二郎のブログ

民間マネーを生かす工夫

青森県下北半島の付け根に位置する六ケ所村。
強い風が吹き付ける尾駮地区で高さ約120メートルの巨大な風車が回っている。
前田建設工業が4月に稼働させた風力発電所だ。
同社は自己資金と銀行融資を活用して太陽光や洋上風力発電所の建設・運営にも乗り出しているが、岐部一誠常務執行役員は不満げだ。
インフラファンド市場がきちんと機能していれば、お金が集めやすくなり事業も広げやすいのだが……
投資家から集めた資金発電所や空港などの大規模施設を運営し収益を分配金に充てるインフラファンド
東京証券取引所が4月に専用市場を開設したが9月時点で上場実績はゼロ。
ファンドがインフラ投資で利益を上げると法人税がかかり投資家への分配金が少なくなってしまう。
税制が普及の障害になっている。
2001年から始まった不動産投資信託
利益の9割超を投資家に分配するなら恒久的に法人税がかからない仕組みを取り入れ、市場は一気に10兆円規模に広がった。
インフラファンドも非課税になる特例はあるが、資産の半分以上を再生エネルギーで占めるファンドのみだ。
加えて、非課税措置は10年間の時限措置で長期の投資マネーがそっぽを向いている。
東証は「REITと同じ扱いにしてほしい」と求めるが、財務省は「インフラ市場はプロの投資家を相手にする市場だ」と慎重姿勢を崩さない。
財務省内には優遇税制(租税特別措置)への根強い不信がある。
1951年に当時の産業再生策として導入した船舶向けの租税特別措置は役割を終えたとの議論が再三浮上するが、負担増を嫌う関係業界は廃止論に猛反発。
岩盤税制となって今も残る。
だが、国の借金は1000兆円を超し経済規模の2倍になった。
老朽化する公共インフラの維持や有効活用には民間マネーを生かす工夫がどうしても必要になる。
課税の公平を名分に成長の芽を見過ごせば経済の活力は衰え税収も増えなくなる。
活力か公平か。
税制はそのバランスが日々試されているのだが……。